「着物」と「浴衣」


着物は「着る物」と書くように、元々は、体に着るものの総称である。
日本に洋服が入ってきたことによって、明治時代以降、洋服に対して和服をさす言葉となった。
浴衣は着物の一種で、基本的に形状や構造、仕立て方は同じだが、一般的にいう着物とはいくつかの違いがあり、着物と浴衣は区別される。

着物の仕立て方には、裏地があって生地が二重になっている「袷(あわせ)」と、裏地のない生地が一枚の「単衣(ひとえ)」がある。
夏に裏地なしのジャケット、それ以外のシーズンには裏地ありのジャケットを着るように、単衣の着物は夏、袷の着物は秋から春に着る。
浴衣は裏地のない単衣で、夏に着る着物と同じだが、着物は長襦袢(半襦袢)を着た上から着るのに対し、浴衣は長襦袢を着用せず、下着の上に着る。

着物の帯には、袋帯や名古屋帯、半幅帯などあるが、浴衣に分厚い帯を締めると暑苦しくなるため、半幅帯や兵児帯(へこおび)を締める。

着物は足袋を履いてから下駄などを履くが、浴衣は足袋を履かずに素足のまま下駄などを履く。

着物の生地には、絹・木綿・ウール・ポリエステルなどが使われ、浴衣の生地には、綿・コーマ・綿麻・ポリエスエステルなど、暑くなりにくい生地が使われる。

着物は正装として着用されるが、浴衣は入浴時や湯上り時に着られていたものが、就寝時の寝間着、ちょっとした外出時にも着られるようになったものなので、正装としては着られない。

着物と浴衣の違いは上記のとおりだが、基本的な違いであり例外もある。
綿絽・絹紅梅・綿紅梅・奥州木綿・長板中形といった「高級浴衣」を着る際は、長襦袢を着用して、その上から着用することが多く、浴衣に長襦袢を着用する場合は、外出着となるため、足袋を履く。
国際交流などの外国人に着せることも踏まえた場面では、着物ではなく、着用に手間がかからない浴衣のことも多い。

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