「早い」と「速い」


速いは、ある動作を完了するのに要する時間が短い、一定時間に動く距離・働く量が大きい、すみやかであるといった意味で用いる。

早いは、「朝が早い」「早いうちに手を打つ」など、ある基準より時間・時期が前である、始まってからあまり時間が経っていないといった意味。
「諦めるにはまだ早い」「結婚にはまだ早い」など、まだその時刻・時期ではないという意味で用いる。

「足が速い」と書けば、走る(歩く)スピードが速いという意味になるが、「足が早い」と書けば、あまり時間が経っていないという意味の「早い」なので、食物などが腐りやすい、売れ行きがよいといった意味になる。
「速い電車」と書けば、普通電車より到着までの時間が短い、特急などの電車のことで、「早い電車」と書けば、朝早くに出発する電車のことになる。

「時間が経つのがはやい」の「はやい」は、「早い」と書かれることが多いが、正しくは「時間が経つのが速い」。
早いは、始まってからの時間の経過が短いという意味で使うが、ある基準より時間・時期が前の方という意味である。
「時間が経つのがはやい」の「はやい」が表しているのは、要した時間が短いという意味なので、「時間が経つのが速い」と書く。
つまり、時刻が前である場合は「早い」、時間が短い場合は「速い」を使う。

時間が短いといった意味では、「話が早い」や「回復が早い」など、「早い」を使う場合もある。
「話が早い」や「回復が早い」は、速度を表しているようにも感じるが、手っ取りばやい、短い時間で済むといった、ある時間よりも前になるという意味なので「早い」を使う。

本来の意味からすれば「速」の字を使いそうな場合でも、「早口」「早業」などは「早」が使われており、使い分けが難しいこともあるが、明らかに速度を表す場合を除き、多くは、慣用として「早い」が使われるため、微妙な違いに注意をし過ぎないほうがよい。

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