懐古と回顧は、昔を思い返すという点では共通するが、意味に違いがあり、使い分けが必要である。
懐古には「懐かしむ」の漢字が含まれているように、昔のことを懐かしく思うこと。
回顧には「顧みる」が含まれているように、過去を顧みることを意味する。
「子供の頃をかいこする」という場合、「あの頃は良かった」と肯定的で、懐かしく思い返しているのであれば、「懐古」と書く。
良くも悪くも、事実を客観的・批評的な見方で思い返しているのであれば、「回顧」である。
自分の生きた時代を振り返り記録したものを「回顧録」という。
人生を振り返る時には、懐かしむ気持ちも生まれるかもしれないが、懐かしむばかりではなく、事実を記録するものなので、「懐古録」と書くのは誤りである。
自分が生まれる以前のこと、経験していないことでも、どこか懐かしく感じられることはあるため、懐古は「明治時代を懐古する」や「懐古趣味」といった使われ方もする。