寝るは眠りにつくことを意味し、寝るも眠るも「睡眠」を表す言葉であるが、「立ったまま寝てしまった」というのは間違いで、「立ったまま眠ってしまった」というのが正しい。
寝ると眠るは重点の置かれるポイントに違いがあり、対義語と合わせて考えるとわかりやすい。
寝たまま本を読んだり、テレビを見たりすることは出来るが、眠った状態では出来ないように、寝ているからといって睡眠状態にあるとは限らない。
寝るの重点は、体を横たえるという体勢にあり、対義語は「起きる」である。
死ぬことを「眠る」とは言っても「寝る」とは言わないように、眠るの重点は、目をつぶること、目を閉じて無意識の状態になること、活動が停止した状態にあるというところで、対義語は「覚める」である。
本来は、体を横たえることが「寝る」、睡眠状態にあることが「眠る」であるが、眠るためには体を横たえるわけであり、体を横にして休ませていれば眠ってしまうという関係にあるため、寝るも「睡眠」を表すようになった。
これは、最近の言葉の乱れではなく、平安時代から同義語として用いられているものである。