「以下」と「未満」


以下の「以」は「~より」の意味で、以下は「~より下」を表す。
数学や法律では、基準となる数量を含んで下の範囲のことで、1万円以下は1万円を含んでそれより低い金額、平均以下は平均値を含んでそれより下の数値をいう。

未満は「いまだ満たず」の意味で、その数に達していないことを表す。
基準となる数量を含めず、それより少ない数のことで、18歳未満は18歳を含めず、それより下をいうため17歳以下をいう。

未満と対になる言葉は、以下の対義語の「以上」で、以下と同様に基準の数を含むため、18歳未満立入禁止であれば、18歳以上(18歳を含む)は立ち入りできることを表す。
以下と対になる言葉は決まっておらず、「より上」「を超えて」「超」などが使われる。

上記のような説明や、算数で習ったことが残っているため、以下と未満の違いは、含むのが「以下」、含まないのが「未満」と覚えていることも多いが、必ずしもそれが正しいとは言えない。

未満がその数を含めないことに変わりないが、以下の意味は「~より下」であり、「~を含んで下」という意味ではない。
「以下」の解説で「数学や法律では」と書いたように、数学や法律では正確に表すことが必要であるため、「基準を含む」と定義したもので、他の場面では基準を含まない「以下」も存在する。

「あいつの能力は小学生以下だ」といった場合、「小学生と同程度かそれより下の能力」という意味ではなく、「小学生ほどの能力もない」「小学生の能力にも達していない」という意味で使われている。
「以上」も同様で、「想像以上だった」といえば、「想像していたものを超えていた」という意味で、想像という基準を含んでいない表現である。

「以」を基準にする言葉には、他にも「以外」や「以内」、「以前」「以後」「以降」「以来」などがあり、これらの「以」も「~より」を表す。
「関係者以外立入禁止」で、関係者も含めて立入禁止になったら、誰も入れないことになるのである。

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