「たらこ」も「明太子(辛子明太子)」もタラの卵巣を使った食品だが、その違いは唐辛子の有無だけではなく、原材料にも違いがある。
たらこは、タラの卵巣を意味するが、特に、スケトウダラの卵巣を塩漬けにした食品を指す。
明太子は、スケトウダラの卵巣を塩漬け熟成し、塩抜きした後、唐辛子や昆布の調味液に漬け込んで発酵させた食品で、明太子と辛子明太子は同じ食品である。
このように、「たらこ」と「明太子」は味付けに違いがあり、明太子は辛く作られているため、料理で代用した場合、仕上がりの味は全く異なるものになる。
唐辛子使用の有無以外で最も大きな違いは、使用する原材料のタラにある。
たらこは一般にスケトウダラの卵巣を使うが、マダラの卵巣を使っても問題ない。
明太子に使えるのはスケトウダラの卵巣のみで、マダラを使ったものを「明太子」として販売すると、公正競争規約違反となる。
これは、全国辛子めんたいこ食品公正取引協議会の規約で、次のように定義されているからである。
「辛子めんたいこ」とは、すけとうだらの卵巣(卵を含む。)に唐辛子を原料とする調味液等で味付けしたものをいう。
このような原材料の違いがあるのは、それぞれの名前の由来も関係している。
たらこの語源は、その名の通り「タラの子」の意味から。
明太子の「明太」は、スケトウダラの韓国語名「明太(ミョンテ)」に由来するのである。