霧(きり)と靄(もや)は、大気中の水蒸気が微小な水滴がとなって浮遊し、視界が悪くなる現象をいい、霞(かすみ)は、空気中の水滴やその他の粒子によって視界が悪い状態をいう。
現象としては「霧」も「靄」も同じものを指すが、気象用語では、視程1km未満の状態を「霧」、視程1km以上10km未満を「靄」と呼ぶ。
つまり、近くのものしか識別できない状態(濃いもの)が「霧」、遠くまで識別できる状態(薄いもの)が「靄」である。
濃い霧は「濃霧」というが、濃霧は視程が陸上で100m以下、海上で500m以下の霧をいう。
「霞」は、気象用語として用いられていない。
また、気象用語での「靄」の定義は、微小な水滴や湿った微粒子で湿度50%以上のものをいい、湿度50%未満の乾いた煙や砂ぼこりなどによって、視程1km以上10km未満となっている状態は「煙霧」という。
俳句などの季語では、春のものを「霞」、秋のものを「霧」とし、「靄」は単独では季語となっていない。
「霞」が春の季語、「霧」が秋の季語となったのは平安時代頃からで、古くは区別がなく、「霧」も「霞」も春秋を問わず使われていた。