意思も意志も、ドイツ語で「~したい」を意味する助動詞「whollen」を名詞化した「wille」の訳語で、哲学や心理学用語では「意志」、法律用語では「意思」が使われる。
日常会話の中では、意思は「本人の意思を尊重する」や「意思表示」というように、表す対象が、単なる考えや思いの意味に重点を置いた場合に用いる。
意志は「意志を貫く」や「意志が固い」というように、ある物事を成し遂げようとする積極的な気持ちを表すことに重点を置いた場合に用いる。
「出馬の意思」と「出馬の意志」のように、意思(意志)の前後にくる言葉が同じであっても、使われる場面、意識などの違いによって、使用する漢字も使い分けられる。
出馬が打診されたものや、不出馬の考えである場合は、対象者の思い・考えに重点が置かれ、積極的な気持ちを表していないので「意思」を用いる。
出馬の表明をいう場合、「考え」や「思い」という意味では「意思」と同じだが、成し遂げようとする志を持ち、前向き・積極的な気持ちがあることを含むため「意志」を用いる。
表そうとしているその気持ちが、「志」であれば「意志」、単なる「思(思い)」であれば「意思」となる。