「効果」と「効能」


「薬の効果が現れる」と「薬の効能が現れる」のように、「効き目」という意味では効果と効能のどちらも使うが、「効き目」の何に重点が置かれるかによって、使い分けが必要となることもある。

効果とは、ある行為や作用によって得られる、望ましい結果のこと。
効能とは、ある結果をもたらす働きのこと。
効果は「結果」に重点が置かれた言葉で、効能は「働き」に重点が置かれた言葉である。

便秘薬を例に「効果が期待できる」と「効能が期待できる」の違いをいうならば、効果で期待できるのは、「便秘が治る」という結果。
効能で期待できるのは、「便を柔らかくする」「腸の動きを活発にする」といった働きである。
便秘の原因が別のところにあれば、このような効能の薬を使用しても結果は便秘のままなので、「効能はあったが効果はなかった」ということもある。
さらに、便秘を治す目的がダイエットであった場合、望んでいる結果は痩せることなので、便秘が治ることは「効能」、痩せることが「効果」となる。

また、効果は「経済効果」や「ドップラー効果」など、「影響」「現象」といった意味でも使われ、対象範囲が広い。
一方の効能は、物質の作用がもたらす働きについていうことが多いため、薬・サプリメント・温泉などの医療・健康に関することに使われ、効果のように対象範囲は広くない。

「何度注意しても効果がない」という場合は、影響・結果に重点が置かれており、働きかけている「注意」も薬などの物質ではないため、「効果」を「効能」に置き換えて、「何度注意しても効能がない」とは使えない。

その他、効果は「音響効果」や「舞台効果」のように、映画や演劇などで、場面にふさわしい情趣を作る意味でも使われる。

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