「おむつ」も「おしめ」も、大小便の汚れを受けるために股に当てる布や紙のことで同じものを指す。
しかし、おむつは介護用や医療用などにも言うのに対し、「介護用おしめ」とは言わないように、おしめは赤ちゃんが使うものに対してのみ言うという違いがある。
このような使い方に違いがあるのは、おむつの方が一般的で、おしめはやや古い印象のある言葉という点が一番だが、両者の言葉の由来も関係している。
おむつは、赤ちゃんに着せる肌着や産衣、ふんどしを意味する「むつき(襁褓)」に、接頭語の「お(御)」が付いて省略された言葉。
おしめは、赤ちゃんの大小便を取るために腰から下に巻く布の「しめし(湿布)」の「しめ」に、接頭語の「お(御)」が付いた言葉で、「しめ」は「湿」と書くように、湿りを取るためのものの意味からきている。
「おむつ」も「おしめ」も、元々、赤ちゃんのためのものであったという点に違いはない。
しかし、おむつの語源となる「むつき」は、肌着や産衣など着衣を表しているのに対し、おしめの語源となる「しめし」は、湿りを取るための布で用途を表している。
大人が身に着けるものとして考えた場合、「湿る」というニュアンスを含む「おしめ」よりも、肌着・パンツとしての意味合いが強い「おむつ」の方が抵抗が少なく、失礼な表現にもならないのである。
また、「おしめ」よりも「おむつ」の方が一般的な言葉となっているのも、「パンツ」の一種という認識が影響していると考えられる。