マグロの胴体部分の肉は、大きく「トロ」と「赤身」に分けられる。
トロは赤身に対して脂肪の多い部分で、そのうち、特に脂肪分が多くて色が白っぽく、とろけるような舌触りのものが「大トロ」、それ以外を「中トロ」という。
赤身は背骨周辺や背側にあり、マグロの中でも一番多く取れる部分で、単に「マグロ」と呼ぶ時は「赤身」を指す。
酸味があって、マグロ本来の旨みが感じられるのが赤身である。
トロは、背側よりも腹側から多く取れる。
マグロの身は、頭に近い方から「かみ」「なか」「しも」に分けられ、背側のかみを「背かみ」、腹側のかみを「腹かみ」などと呼ぶ。
中トロは、「背かみ」から「背しも」にかけた背側、「腹なか」から「腹しも」にかけた尾に近い部分から取れる。
赤身に脂の甘みが加わり、まったりとした感じがあるのが中トロである。
大トロが多く取れるのは、「腹かみ」から「腹なか」の頭に近い腹側。
「トロ」と呼ばれる部分の5分の1程度と希少で、脂の甘みが強く、身というよりも、脂の旨みを食べるのが大トロである。
一般的には上記のように分けられるが、明確な規定はないので、「中トロ」と思えるような部分を「大トロ」として提供している店もある。
トロと赤身は、栄養やカロリーにも違いがある。
赤身は、タンパク質が多く、低脂肪でカロリーが低い。
トロの脂は、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を含み、ビタミンA・D・Eも赤身より多いが、脂分が多いためカロリーは高い。
トロは取れる量も少なく、赤身よりも好んで食べられる部位だが、昔は、脂分の多い食べ物が好まれていなかったことや、保存や輸送の技術が未発達で、脂の味が悪かったことから、江戸時代には、猫も見向きもしない食べ物という意味で「猫またぎ」などと呼び、捨てられていた部位であった。