「ひねる」と「ねじる」と「よじる」は、回すという点では同じだが、回す方向や強さ、回数などに違いがある。
ひねるは、指先でつまんで回す。一方向に回す。軽く回す。一度だけ回すという意味。
ねじるは、棒状や糸状のものの両端をつかんで、互いに逆の方向に回す。力強く回す。繰り返し回すという意味。
よじるには、ねじ曲げるという意味がある。
ガス栓や蛇口、スイッチなど、簡単に回転するように作られたものには「ひねる」が使われ、「針金をねじる」や「ねじり鉢巻き」など、一方向でなく両端から回したり、力強さが必要な場合には「ねじる」が使われる。
スイッチや瓶の蓋などが固くなってなかなか回らなず、力が必要な場合には「ねじる」を用いる。
「よじる」は「ねじる」と同義語だが、ねじったものを更に曲げるという、「ねじる」よりも更に複雑な回し方をする際に使われる。
「手首をひねる」と言った時には、通常動く方向に曲げることを表し、「手首をねじる」は通常の動作では曲げない方向に回してしまった時に用いる。
「手首をひねると痛い」という場合は、骨や筋などに何かしらの問題が考えられるが、「手首をねじると痛い」のは当然のことである。
ひねるは、「考えをめぐらす」「工夫する」という意味で「頭をひねる」や「首をひねる」、「簡単にやっつける」「負かす」という意味で「軽くひねってやる」や「ひねり潰してやる」といった使われ方もする。
「赤子の手をひねる」は「赤子の手をねじる」とも言うが、「簡単に」の意味から、本来は「赤子の手をひねる」が正しい。
「ひねった関係」と言わず「ねじれた関係」と言うように、ねじるは「二つの方向」「複雑さ」を表す。
大笑いする時に言う「腹がよじれる」は、「まるで腹がねじ曲がったよう」という、笑い過ぎるとお腹が痛くなる感覚からの表現で、「ひねる」や「ねじる」よりも複雑な状態が表されている。