蜃気楼と陽炎は、光の屈折による自然現象という点では共通するが、見えるもの・見える条件・見える場所に違いがある。
蜃気楼は、物が浮いて見えたり、反転して見えたり、遠くにあるはずの物が見えたりする。
大気の下層に温度差などで空気の密度差がある時、光が屈折して起こる現象で、海上や砂漠で多く見られ、日本では富山湾の蜃気楼が有名である。
陽炎は、地面から炎のような揺らめきが立ち上がって見える。
春や夏の日差しが強い日、地面が熱せられることで空気密度が不均一になり、通過する光が不規則に屈折して起こる現象で、アスファルトや自動車の屋根の上など、熱を持ちやすい場所で多く見られる。
蜃気楼や陽炎のように、光の屈折によって起こる現象には、遠くに水があるように見える「逃げ水」がある。
逃げ水は強い日射で地面が熱せられた時に見られるため、陽炎の一種に思えるが、「下位蜃気楼」という蜃気楼の一種。
逃げ水は空気密度が不均一になって起こるものではなく、地面が熱せられて下方の空気の密度が低くなることで、密度差が生じて起こる現象である。