海牛目(かいぎゅうもく)もしくはジュゴン目に分類される海生哺乳動物は、ジュゴン科とマナティー科の2科に分かれる。
両者は一見すると似ているが、見分け方はそれほど難しくない。
ジュゴンとマナティの違いを一目で見分ける方法は、尾びれの形を見るこである。
ジュゴンの尾びれはイルカのように三角形で、マナティの尾びれは丸みを帯び、うちわに似た形をしている。
その他、ジュゴンとマナティを見分けるポイントは、下記のように何点かある。
ジュゴンは海底に生える海草を食べるため、口が下向きになっているが、マナティは海面に浮く水草を食べるため、ジュゴンほど口は下向きになっていない。
ジュゴンに爪はないが、マナティには爪がある。
マナティは象と同じ先祖から進化したといわれ、爪があるのはその名残りと考えられている。
ジュゴンもマナティも、水中生活に適応するため前肢がヒレになっているが、長さや肘の有無に違いがある。
ジュゴンの上腕は体内にあるためヒレは短く肘もないが、マナティのヒレは長く肘がある。
少し分かりづらいが、ジュゴンの皮膚は滑らかなのに対し、マナティの皮膚は硬くてザラザラしている。
また、マナティは皮膚に苔が生えていたり、フジツボが付着しているものも多い。
ジュゴンには牙があり、マナティには牙がない。
ただし、ジュゴンの牙は歯肉に埋もれているため、牙によってジュゴンとマナティを見分けることは難しい。
ジュゴンとマナティは生息地にも違いがあり、ジュゴンは紅海・インド洋からオーストラリア北部に至る浅海に生息し、日本では沖縄に生息する。
マナティは、大西洋沿岸や周辺の河川や河口、湖などに生息する。