「昨年」「去年」「前年」「旧年」は、いずれも今年の前の年を表す言葉だが、場面に応じた使い分けが必要である。
昨年は「去年」に比べて改まった表現であるため、目上の人との会話や、文章で表す際は「昨年」と書くことが多い。
去年は話し言葉として多く使われ、目上の人以外との会話や、友人とのメールなど会話に近い文章、文章中の日常会話を表現する時などに用いられる。
前年は「前年の売り上げ」「前年比◯◯%」など、比較する際に多く用いられる。
また、前年は基準となる年の前の年を表す言葉であり、必ずしも今年の前の年とは限らないところが、「昨年」「去年」「旧年」などと異なる点である。
「結婚した年の前年」といった場合、結婚した年が昨年(去年)であれば、基準となる年は昨年で、結婚した年の前年は一昨年(おととし)となる。
旧年は、新しい年を迎えた際に前の年を表す新年の季語である。
そのため、「旧年中はお世話になりました」と新年の挨拶に使われる。
「昨年」「去年」「前年」「旧年」は、反対語にも違いがある。
昨年に対し、今年の次の年は「明年」。
去年に対し、今年の次の年は「来年」。
前年の反対語は「翌年」で、基準となる年の次の年のこと。
旧年に対するのは「新年」で、新しく迎えた年、つまり今年が反対語となる。