対象と対照と対称の使い分けは、英語にすると分かりやすい。
対象とは、行為が向けられる目標や相手のこと。
英語では、「オブジェクト(object)」。
「調査対象」「批判の対象」「恋愛対象」などと使う。
対照とは、他と照らし合わせて比べること。性質の異なるものの違いがきわだつこと。
英語では、「コントラスト(contrast)」。
「比較対照」「AとBを対照する」などと使う。
対称とは、互いに調和を保って釣り合うこと。向き合う二つの点・線・面などが釣り合う位置関係にあること。
英語では、「シンメトリー(symmetry)」。
「左右対称」「対称図形」「点対称」などと使う。
対象は、一つの相手、複数でも一括りとなる相手に関することをいい、対照や対称と異なる。
対照と対称は、二つのものをいうが、対照は「比較」、対称は「釣り合う」ことなので、意味は全く異なり、「対照的」といえば、違いがはっきりしたさま。「対称的」といえば、形や配列などが全く同じさまをいう。
「対象的」という言葉はないが、若者言葉の「的な」の意味であれば使われる可能性はある。
「たいしょうてき」には「対症的」と書く言葉もあり、それぞれの症状に対応する処置をするさまをいう。
対象と対称は、名詞として使うのみだが、対照は「対照する」という形で動詞としても使えるといった違いもある。
対象・対照・対称・対症の他にも、「たいしょう」と読む漢字は多く、大正・大匠・大将・大笑・大勝・大賞・大祥・大捷・大詔・大檣・太衝・体性・対償・待詔・胎生・隊商などがある。