「伺う」と「窺う」


「うかがう」の漢字には「伺う」と「窺う」があるが、それぞれ使われる意味に違いがある。
しかし、語源が同じで意味に似た部分があるため、使い分けを間違えやすい。

伺うは「尋ねる」「訪問する」「聞く」「問う」を意味する謙譲語。
使用例には、「お宅に伺う」「ご機嫌を伺う」「噂は伺っております」「ご意見をお伺いします」などがある。

窺うは「そっと様子を見る」「密かに探り調べる」「様子を見て好機の訪れを待ち受ける」といった意味がある。
使用例は、「顔色を窺う」「相手チームの様子を窺う」「チャンスを窺う」などである。

こられの中で特に、「ご機嫌を伺う」と「顔色を窺う」は意味が似ているため、使う漢字を間違えやすい。

ご機嫌を伺うの「ご機嫌」は、他人を敬って意向や思惑、安否や様子などをいう言葉なので、それに続く「伺う」は謙譲語になる。
この場合の「伺う」は、相手の意向や様子などを知るために訪問する意味で、直接人に会いに行くことである。

「顔色を窺う」の「窺う」は、他人を敬っているわけではないため、謙譲語ではない。
この場合も人と直接会うが、人と接することを表すのではなく、顔色(様子・機嫌)という内面的なものを密かに覗き見ることを意味している。

つまり、「伺う」と「窺う」の使い分けのポイントは、謙譲語かそうでないかの違いと、直接人に接することなのか、密かに見ることなのかの違いにある。

また、「うかがう」には「覗う」が当てられることもある。
字を見てわかる通り「窺う」の意味に当てただけの漢字で、ほぼ使われないため読み方だけ覚えておけばよい。

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