キュウリは野菜として扱われ、同じウリ科でもスイカやメロンは果物として扱われるように、野菜と果物は学術的に区別されていない。
分類する明確な定義はないものの、野菜と果物を区別する際の基礎となるのは、草として生えるものか、木になるものかという違いである。
野菜は「野の菜」と書くように、葉・茎・根などを食用とする野に生える草という意味で、田畑で栽培され、副食物とされる植物が野菜。
果物の語源は「木の物」という意味で、木になる果実が果物である。
これに似た分類の仕方には、多年生を果物、一年生を野菜とするものがあり、農林水産省の分類はこれに近い。
農林水産省では、食用に供し得る草本性の植物で、加工の程度の低いまま副食物として利用されるものを「野菜」。
2年以上栽培する草本植物及び木本植物であって、果実を食用とするものを「果樹」として取り扱うとしている。
スイカやメロン、イチゴなどは、栽培方法が苗を植えて1年で収穫し、一般的な野菜と同じであるため、野菜として取り扱っている。
ただし、このような果実として利用される野菜は「果実的野菜」として、別の区別の仕方もしている。
また、一般的に栗や梅などは「果物」と思われていないが、農水省では「果樹」として扱っている。
生産の段階ではこのような分類の仕方になるが、実際に売られている場所でいえば、イチゴ・スイカ・メロンは、果物屋やスーパーの果物コーナーである。
八百屋でもスイカなど売られているが、果物屋でトマトは売られていないため、果物専門店で売られているものを「果物」として区別することも間違いではなく、最終的には大半の消費者が野菜と思っているか、果物と思っているかの違いとなる。
ちなみに、100年以上前のアメリカでは、輸入野菜に10%の税率を課すという法律が作られたため、トマトが野菜か果物かという論争が起き、最高裁判所で「トマトは野菜である」と判決が下されている。
現代の日本ではどうかといえば、税関の事項関税率で、トマトは「食用の野菜」、イチゴ・スイカ・メロンは「食用の果実」と決められている。