農林水産省の定義では、自然にできた樹木の密集地を「森」、人工的に作られた樹木の密集地を「林」としている。
しかし、人の手によって作られた公園を「市民の森」と呼んだり、人の手で植樹されたところを「人工林」というように、農林水産省による「森」と「林」の定義と、一般での「森」と「林」の使い分けが一致するわけではない。
一般には「森」と「林」に厳密な区別はなく、次のようなイメージで使い分けられている。
森は「盛り」と同源で、木が多くこんもりと盛り上がったところの意味からといわれるように、樹木がこんもりと生い茂っているところをいう。
同じ種類の樹木が立ち並んだところではなく、様々な種類の木があり、深く生い茂るようなところを「森」といっている。
林の語源は「生やす」の名詞化「生やし」で、木を生やしてあるところの意味からといわれ、深く生い茂ることは表していないが、樹木が群がっていることは表しているように、同じ種類樹木が多く立ち並んでいるところで、木と木の間隔がさほど狭くないところを「林」といっている。
漢字でも、「森」は沢山の木が混み合い盛り上がったところを表しているが、「林」は同じ種類の木が横並びで、森よりも深みがない。
なお、林の語源について、「人の手で生やしたところ」と解釈されることもあるが、木が自らの力で生やすことを表しており、「生やしたまま」という意味で「人工的」という意味ではない。
面積や樹木の本数の基準などはないが、森は大規模なもの、林は小規模なものという区別もされる。
また、林は「生やしたままで、人が手をつけていないところ」であるため、生活に直結した範囲にあるもの。
森は「こんもり生い茂っていて、人が手をつけるには面倒なところ」であるため、生活に直結しない範囲にあるものという区別もされる。
森林は、森よりもさらに広範囲にわたり、樹木が密生しているところを指す。
また、樹木だけでなく、そこに棲む動物や微生物、土壌などを含めた一体を指して「森林」という。