カレーのスパイスに使われる「コリアンダー」と、タイ料理に欠かせない香草の「パクチー」は、生の状態で見分けることが非常に難しい。
なぜなら、「コリアンダー」は英語、「パクチー」はタイ語というだけで、全く同じ植物だからである。
中華料理に使われる「香菜(シャンツァイ)」も同じセリ科の一年草で、和名は「コエンドロ」という。
日本には古くから入ってきているものだが、独特の芳香があり、日本の料理にはあまり使われないため、和名の「コエンドロ」で呼ばれることも少ない。
一般にも定着した呼称は、英語の「コリアンダー」で、英語圏から入ってきた料理に、乾燥した種子や葉が香辛料として使われていたためである。
その後、タイ料理を食べる機会が増えたことで、コリアンダーの葉を生食するようになったが、コリアンダーはタイ語で「パクチー」と呼ぶため、タイ料理の食材として呼ぶ時や、生の葉野菜を指す時には、「パクチー」と呼ぶようになった。
同様に、中華料理で使う時には、中国語の「香菜(シャンツァイ)」で呼ばれることもある。
つまり、コリアンダーとパクチーの違いは、英語とタイ語の違いだけで、植物としては全く同じものだが、日本では、香辛料となっているものを「コリアンダー」と呼び、生の葉野菜やタイ料理の食材として使う時には「パクチー」と呼ぶことが多いのである。