「鮭」と「サーモン」


鮭を英語で「salmon(サーモン)」と言い、同じ種類の魚を指している。
しかし、食材として扱う場合は、天然と養殖、加熱と生の違いで、「鮭」と「サーモン」は呼び分けられている。

「鮭」と呼ばれるのは、天然のもの、加熱して食べるもの。
その反対で、「サーモン」は養殖のもの、生で食べられるものをいう。
寿司屋でも、生のにぎりは「サーモン」、炙りのにぎりは「鮭」と呼ばれる。
このような呼び方の違いがあるのは、寄生虫のアニサキスに関係する。

天然の鮭は、アニサキスが寄生していることがある。
人間がそれ食べると食中毒を起こし、腹痛や嘔吐などの症状が出る。
アニサキスは加熱処理(70℃以上もしくは60℃で1分)すれば消滅するため、天然の鮭は加熱して食べる必要がある。
鮭にアニサキスが寄生するのは、鮭が餌にしているオキアミの影響である。
養殖のサーモンは人工飼料を食べるため、アニサキスが寄生している可能性が低く、生でも食べられる。

養殖の鮭が「サーモン」と呼ばれるようになったのは、1986年のこと。
ノルウェーでは1970年代から鮭の養殖が行われており、ノルウェー人によって日本に鮭の養殖が伝えられた。
生で食べられる養殖ものだが、「鮭」という名前では買ってもらえないと考え、天然との違いをはっきりさせるため、「サーモン」という名前で売り出された。
これが定着し、加熱が必要な天然ものは「鮭」、生で食べられる養殖ものは「サーモン」と区別されるようになったのである。

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