「尊い」と「貴い」


「とうとい」「たっとい」は、漢字で「尊い」「貴い」と書く。
この二つの漢字は意味の違いによって使い分け、動詞の「尊ぶ・貴ぶ」や「尊む・貴む」も同じように使い分けられる。

尊いは、敬うべきもの(尊敬)。大切にすべきものの意味で使う。
「尊い神仏」「尊い教え」「平和の尊さ」など。

貴いは、他に代えるものがない(貴重)。価値が高い。身分が高い(高貴)という意味で使う。
「貴い体験」「貴い税金」「和を以て貴しとなす」など。

基本的に、神仏や人に対しては「尊い」を使い、物や事柄には「貴い」を使うが、「尊い命」と「貴い命」、「尊い身分」と「貴い身分」のように、どちらも使える場合がある。
これらは「大切にすべきもの(尊い命)」と「価値があるもの(貴い命)」、「尊敬すべきもの(尊い身分)」と「身分が高い(貴い身分)」と使い分けられる。

意味が似ているため使い分けも難しいが、「大切にすべき」「尊敬すべき」というのは主観的な気持ちを表すもので、「価値がある」「身分が高い」というのは客観的な評価・様子を表すものである。
そのため、主観的な気持ちを表す場合には「尊い」を使い、客観的な様子を表す場合には「貴い」を使うようにするのがよい。

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