「事実」と「真実」


事実は、本当にあった事柄、現実に存在する事柄。
真実は、嘘偽りのないこと、本当のことを意味する。
意味は似ているが、事実はひとつで真実は複数あると言われるように、事実と真実は異なり、一致しないことの方が多いくらいである。

男性が女性の足を触っている写真があったとする。
そこから言える事実は、男性が女性の足を触っていることだけで、これが恋人同士の行為なのか、セクハラ行為なのかといった事まではわからない。
性別も見る側の勝手な想像であるため、厳密に言えば「男性らしき人が女性らしき人の足を触っている」というのが事実となる。
しかし、「歴史的事実」と言われることでも、本当にあったこととは限らないように、極端に言えば、多くの人が事実と信じているものは事実となるため、「男性が女性の……」でも事実といえる。
つまり、事実は「実際にあった」と多くの人が認められる事柄、客観的に認められる事柄のことである。

足を触っているのが男性として、それは恋人に対する行為なのか、セクハラ行為なのかといった真実は、男性の心の中にあるものである。
男性の真実としては恋人とのスキンシップであったとしても、女性からすれば付き合った覚えもなく、セクハラをされたと思っていれば、女性の真実としてはセクハラ行為となる。
つまり、真実は人それぞれが考える本当のこと(事実)で、客観的なものではなく、主観的なものである。

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