「濃口醤油」と「薄口醤油」


一般的に「醤油」といえば、江戸時代以降、関東を中心に使われてきた「濃口醤油」を指し、醤油生産量の8割以上を占める。
濃口醤油は、汁物・煮物・焼き物など様々な料理に用いられ、つけてよし、かけてよしの卓上調味料としても使用される。

一方の「薄口醤油」は、主に関西地方で使用される醤油で、京料理や関西風料理に多く用いられる。
薄口醤油は、つけやかけには向いていないが、魚や野菜の味や色合いを活かしたり、上品に仕上げるのに向いている。

醤油の「濃口」「薄口」が表しているのは、色の濃さのこと。
薄口醤油は、淡い色をしていることから「淡口醤油」といい、「淡口」は「うすくち」と読むことから「薄口醤油」とも書かれるようになった。
濃口醤油は、薄口醤油に対していうものである。

薄口醤油よりも濃口醤油の方が塩分が多いと思われがちだが、濃口醤油の塩分は16%、薄口醤油の塩分は18~19%で、薄口醤油の方が塩分は多い。
薄口醤油の塩分が多いのは、素材の味や色合いを活かすためである。
醸造食品は、発酵・熟成が進むと色が濃くなるため、薄口醤油は醸造の途中で発酵を止める。
しかし、発酵が不十分では変質しやすいため、塩分を多めに使用しているのである。

この他、醤油の種類には、「たまり醤油(溜まり醤油)」「再仕込み醤油」「白醤油」がある。
たまり醤油は、主に東海三県で作られる、濃口醤油よりも更に色が濃く、とろりとして甘みのある醤油で、濃厚な味だが、芳香は乏しく、刺身醤油や照り焼きのタレに使用される。
再仕込み醤油は、色・味・香りが濃厚な「甘露醤油」とも呼ばれる醤油で、寿司や刺身、冷奴などのつけ・かけに使用される。
白醤油は、旨味やコクを抑えた淡白な味だが甘味が強く、独特の香りがある、薄口醤油よりも更に色が薄い醤油で、吸い物や茶わん蒸し、うどんの汁などに使用される。

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