「本膳料理」「懐石料理」「会席料理」


本膳料理は、正式な日本料理の膳立てで、室町時代に武家の礼法をもとに確立し、江戸時代に発展したが、明治時代以降に廃れ、現在では、冠婚葬祭などに用いる儀式料理に残る程度である。
食事をとる行為自体に、儀式的な意味合いを強く持たせているのが特徴。
本膳料理では、本膳(一の膳)、二の膳、三の膳から成り、鄭重なものでは、与の膳、五の膳までを供し、料理が一度に並べられる。
献立には、一汁三菜・一汁五菜・二汁五菜・二汁七菜・三汁七菜・三汁九菜・三汁一一菜などの種類があるが、二汁五菜が一般的である。

懐石料理は、茶の湯で濃茶をすすめる前に出す簡単な料理のこと。
空腹の状態で濃茶を飲むと、茶の味が分からなかったり、気分が悪くなるといけないため、軽い食事を出したことに由来する。
温石を懐に抱いて腹を温めるように、腹中を温め空腹をしのぐ程度の料理という意味で「懐石」と呼ばれる。
同音の「会席料理(かいせきりょうり)」と区別するため、「茶懐石」とも呼ばれる。
「懐石」には「料理」の意味が含まれているため、本来は「懐石料理」ではなく「懐石」が正しい。
流派によって違いはあるが、懐石料理では、飯・吸い物・向付、煮物、焼物、預け鉢、吸物、八寸、湯桶・香の物、菓子の順に、一皿・一鉢ずつ出される。

会席料理は、本膳料理を簡略化した料理。
元々は、連歌や俳諧の後、俳人たちが楽しむ食事として出された料理で、会席とは連歌や俳諧の席のこと。
現在では、酒宴の席の上等な料理をさすようになり、本膳料理に次いで、正式な日本料理とされているのが会席料理である。
会席料理は酒を中心とした宴席料理であるため、懐石とは反対に、前菜、吸物・煮物、刺身・膾、焼物などが先で、最後に飯と汁が出される。

懐石は茶席に入る人数が少ないため、多くても5人程度だが、会席料理は酒宴料理であるため、10人以上ということも少なくない。

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